妊娠の成り立ち

不妊症の問題解決には、妊娠がどのようにして成立するのかを知っておく必要があります。

1回の射精で射出される3億もの精子のなかのたった1匹の精子と、毎月1回、1個ずつ排出される卵子が出会い、合体(受精)して子宮内膜に着床するこの妊娠という生命現象は、まさに生命の神秘ではないでしょうか。

■排卵から着床まで

女性の卵巣の中には、この世に生を受けたときにはすでに約100万個の原始卵胞(卵子のもとになる卵胞)が用意されています。
この原始卵胞は思春期になると眠りからさめ、卵胞刺激ホルモンの作用で毎月数個が発育し、そのうちの1個が成熟卵胞となって排卵されます。
卵子は直径0.2mmくらい、からだの中でいちばん大きな細胞です。
精子は長さ0.05mmで、しっぽの長いオタマジャクシのような形をしています。
膣内に射出された精子は、長い尾を動かしながら子宮に向けて遡っていき、1~2時間後には、子宮を経て卵管膨大部に達します。

いっぽう、卵巣から排出された卵子は、まず卵管采に吸いこまれます。
卵子は精子と違って、それ自体は動きません。
卵管自身の蠕動運動に加えて、卵管内にびっしりと生えている線毛がいっせいに子宮に向かってなびき、卵はその上に乗って移動していくのです。
風にそよぐ稲穂の上を、風船がゆっくりと移動していくさまを思い浮かべてください。

こうしてやっと卵管膨大部にたどり着いた卵子が精子と出会い、そのなかの1匹と結ばれます。
これが受精です。

けれども、受精にはタイミングが必要です。
というのも、精子にも卵子にも寿命があるからです。

精子が受精能力を保持する限度時間は40~72時間強、卵子の寿命はせいぜい2日といわれています。
排卵に合わせてタイミングよく精子が送りこまれないと、受精できません。
首尾よく受精すると、卵子の表面は硬化して、ほかの精子をシャットアウトします。

受精した受精卵は、その直後からものすごいスピードで細胞分裂と増殖をくり返しながら、卵管の線毛運動と蠕動運動によって子宮の中へ送りこまれます。
受精後5~7日目に栄養(血液)に富んだふかふかの畑、子宮内膜に根をおろします。
これを着床といいますが、まさにこの瞬間に妊娠が成立したことになります。

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■妊娠成立には条件がある

妊娠が成立する条件としては、

  1. 元気な精子がたくさんいる。(男性側)
  2. 膣内に射精できる。(男性側)
  3. 精子が頸管粘液を貫通し、子宮内に進入する。(男性・女性双方)
  4. 排卵する。(女性側)
  5. 卵子が卵管内にとりこまれる。(女性側)
  6. 卵子と精子が、卵管内で結合する。(受精)。(男性・女性双方)
  7. 受精卵が卵管内を通り抜けて、子宮内膜に根をおろす(着床)。(女性側)

この7つのうちとくに大切なことは、
男性側では、(1)の精子状態と(2)の射精の可否、
女性側では、(4)の排卵因子と(5)の卵管因子です。

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