赤ちゃんの主食は肉だった!目からウロコな離乳食の事実

宗田マタニティクリニック院長の宗田です。

私は日々、クリニックを訪れる妊婦さんたちに糖質制限(健康な人には緩やかな制限食、妊娠糖尿病や糖尿病妊娠の人、男女問わず一般の糖尿病の人にはより厳格な制限食)を勧めていますが、「ごはんを食べなくて、本当に大丈夫ですか?」と心配する妊婦さんも少なくありません。

それはそうでしょう。これから出産まで自分の分と赤ちゃんの分と、二人分の栄養をしっかり摂らないといけないと思っているわけですから。

そんな妊婦さんには、まずこんな前置きをしてから糖質制限について具体的に説明するようにしています。

お母さんのお腹の中の赤ちゃんに糖質はいらない

「ニワトリの卵には糖質が入っていなくて、水分を除くとタンパク質と脂質でできている。でも、ちゃんとヒナになって産まれるよね。じつはヒトの赤ちゃんだって同じ。お母さんのお腹の中にいるときに糖質はいらないんだよ」

多くの妊婦さんはこの話を聞いて、ひとまず安心してくれます。

厚生労働省が推奨する「ごはん一日5〜8杯」は糖質過多!

一方で、厚生労働省が推奨している妊産婦に対する栄養指導の目安(妊産婦のための食事バランスガイド)は、今日でも「ごはん(小盛り)を一日5〜8杯食べなさい」というものです。

これでは、ごはん=糖質だけでお腹いっぱいになって、より大切な栄養素である脂質とタンパク質が食べられなくなってしまいます。

これが母体にとって、胎児にとって、本当によいことなのでしょうか。「ごはん一日5〜8杯」は明らかに糖質過多であり、糖尿病などになる危険性を確実に高めてしまいます

妊婦とお腹の赤ちゃんに必要な栄養は・・・

私はそのような従来の栄養指導を一切、守っていません。

妊婦さんたちには、ごはんやパン、麺類ではなく、「お肉や魚、卵、チーズ、葉物野菜を中心にお腹いっぱい食べなさい」と指導しています(具体的には、お肉200グラム 以上、卵3個以上など)。

そうした指導や入院時の糖質制限食の提供を2010年11月から行っていますが、私の指導を守った人で妊娠糖尿病(糖を処理する能力が妊娠中に低下して起こる一過性の症状)が悪化した人はいませんし、糖尿病妊娠の人(糖尿病が持病の妊婦)も問題なく出産しています。

私のクリニックでは「肉食の赤ちゃん」が続々と誕生しているのです。

赤ちゃんの主食はお肉

そして、妊婦さんが、「ごはんを食べなくて大丈夫」であることをより実感するのが、赤ちゃんに離乳食を食べさせるときです。

とくに食べ始めの赤ちゃんは、おかゆを嫌がって食べたがりません。

では、何が好きなのか。

子育て経験のある方なら心当たりがあると思います。

赤ちゃんが最初から好んで食べたがるのは、じつはお肉(魚介類を含む)です。

私のクリニックでは離乳食にお肉を勧めています。赤ちゃんはすりつぶしたお肉を出されると、とても食いつきよく、自分からくくっと食べてしまいます。

お母さんたちはみなびっくりします。

「え? こんなに簡単なの? どうして?」

なぜかというと、お肉こそが私たちヒトの本来の主食だからです。そして、一番主食から遠い食べ物がお米だからでしょう。

お肉こそが私たちヒトの本来の主食

多くの日本の大人たちは、この「常識」を知りません(赤ちゃんは本能的に知っているのに!)。

お米を食べるのが普通で、お米は体によいと信じています。

お母さんたちも小さい頃から、そういわれて育ってきた方が多いでしょう。だから自分の子にも生後4カ月頃からおかゆを与えて、お米の味に無理やり慣れさせてしまうのです。

ただ、赤ちゃんの中にはお肉しか食べないという「賢い子」もいます。

 

私は産婦人科医として、今日まで2万件ほどの妊娠・出産にたずさわってきました。毎年、地元の3歳児健診にも駆り出されています。

会場でお母さんが困った顔でよく相談してきます。

「この子、偏食がすごくて……」
「どういう偏食?」
「赤ちゃんの頃から、お米食べない、野菜食べない、お肉しか食べないんです」

私は即答します。

「お母さん、それはとってもいい子だよ。ぜんぜん心配しなくていいから、これからもお肉をたっぷり食べさせなさいね」

とたんにお母さんは安堵の表情。

 

でも今度は、そばにいる栄養士さんや看護師さんが嫌な顔になって苦情です。

「先生、ダメですよ、そんなバランスの悪いことをいっちゃ……」

 

私は気にしません。

「お母さん、この子、手かかる?」
「いえ、ぜんぜん!」

逆にお肉をあまり食べなくて、お米や野菜が大好きという3歳児もいます。そういう子たちは体形がひょろっとしていたり、ばたばた走り回ったり、きょろきょろしていたりします。

お肉大好きという子はみな固太りで、そんなふうに落ち着きのない子は一人もいません。

「甘いもの中毒」私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体

実はこれは大人にも当てはまります。

お米ばかり食べるよりはお肉ばかり食べたほうが、本当は医学的・栄養学的には断然よいのです。

自著『甘いもの中毒』(朝日新聞出版)では「食べてよいもの・食べてはいけないもの」をさらに細かく紹介していますが、まずはご飯の量を減らすといった、簡単な方法から試してみてはいかがでしょうか?

きっと体調の変化を感じられるはずです。